日本車は今日、1つは品質と信頼性、もう1つはバリュー・フォー・マネーの
高さで、国際市場での主導権を握るまでになっています。

自動車ユーザーの大半は、どの国においても、クルマに特別な趣味性やファッション性など求めていない人たちなので、実用機能や価格競争力の面で評価を得ることは、なにより成功への近道でした。

日本の自動車メーカーは、その道をひたすら突き進むことで、短期間のうちに、かつてお手本とした欧米のライバルたちを脅かすまでに成長することができました。しかし、その先に実は、落とし穴があったのです。

車に特別な趣味性やファッション性を求めないユーザーというのは、言い換えれば、経済力からいっても、知的好奇心の面でも「普通」の人たちです。

数は多くいますが、高級車は買わないし、周囲に影響力を発揮してくれるわけでもありません。

こういった顧客ばかりでは、自動車メーカーはいつまでたっても大儲けできません。しかし、トヨタなどの日本車メーカーは、そういった普通のユーザーに普通のクルマを販売して、車検毎に乗り換えてもらうという戦略を採って、成功を収め てきました。

ところが、その突出した信頼性の高さとともに、乗り手の「やる気」を削ぐようなダイレクト感を欠いたドライブフィールが、結果的に車に対する興味や関心を削いでしまっているように感じられるのです。

もしあなたが、車マニアになって、ドライブを楽しみたいと考えたら、とんがった車作りをしているようなブランドか、輸入車を選ぶはずです。

販売戦略が成功してしまったが故に、日本人の車に対する熱を冷ましてしまったのではないでしょうか。

都市部を中心に公共交通機関が発達していて、車がなくても生活することが可能な今日の日本では、成人であっても運転免許を取得していない、もしくは取得していても運転をしないという人がかなり増えてきています。かつて日本では、乗用車は贅沢品を見なされていたため、重い税負担が課せられており、それが持てば経済的負担になるという、車離れの一因にもなっています。