アメリカ、ヨーロッパの場合

マーケットとしてのアメリカの特徴は、自動車が誰にとっても必需品であるという点です。ニューヨークなど一部の大都市を除けば、公共交通機関を使っての移動など、まったく考えられません。

車がないと、最寄りのコンビニまでも行けないくらいなのです。

車はいわば、隣の家を訪ねるにも履いていく「靴」のようなもので、外出するときは、どこへ行くにしろ、車に乗らないと行けません。

それゆえ、どんなに貧乏であっても車なしの生活は考えられず、ボロボロの中古車であっても、安くて走れば買い手がつくのです。

巨大なマーケットが形成されていて、「必要上仕方なく」車に乗っているユーザーの多いアメリカが、信頼性と安さで勝負を挑む日本車メーカーにとって、格好のターゲットであったことはまぎれもありません。

ところが、ヨーロッパはそうはいきません。

車は生活必需品に違いありませんが、アメリカのようになければ生きられないというほどではないからです。

ヨーロッパでは、車は「靴」ではなく、場合によっては国境を超えた長旅にも使う「パーソナルな移動手段」という役割を担っています。

鉄道やバスなどの公共交通機関、さらに航空機などの長距離高速輸送機関との共棲、役割分担も進んでいます。

人々は、「好きな時に好きな場所へ行ける」という車の利便性と、運転することの楽しさを、ともに享受していて、それが、車に対するバランスのとれた価値観にもつながっているように感じられます。

さらに、大型車、高級車に至るまで、依然マニュアル車の比率が高く、燃費が悪くて運転が退屈なオートマチック車に対する抵抗感を多くのドライバーが持っているのも特徴でしょう。